賃借人支払家賃総額とは

 不動産管理会社の管理委託方式の場合の会社側の取り分は、賃借人支払家賃総額×3~8%程度となっています。なお、この「賃借人支払家賃総額」には、礼金や更新料等の臨時的、一時的収入及び共益費等を除いて計算します。平成12年1月31日裁決(裁事59集112頁)は、以下のように判断しています。

 原処分庁は、比準同業者の平均管理料割合の算定に当たって、その算定の基礎に更新料、礼金等の臨時的、一時的収入を含めたところで計算している事実が認められるが、比準同業者の平均管理料割合を用いて適正管理料相当額を算定するに当たり、その算定の基礎に臨時的、一時的収入を含めることは推定精度の維持上相当ではなく、平均的な管理料割合及び適正管理料のいずれの計算においても更新料等の臨時的、一時的収入及び共益費等を除いて計算するのが相当と認められる。

賃借人支払家賃総額の何%程度が妥当なのか

 一般的に、不動産管理会社の管理委託方式の場合の会社側の取り分は、賃借人支払家賃総額×3~8%程度(一括転貸方式の場合は10~15%程度)となっています。同族関係にない全くの第三者の市中の不動産管理会社に管理を委託した場合を想定して数字を決めないと、税務調査が入った際に否認されます。税務署が適正管理料額を算定する場合は、同族関係にない不動産管理会社に同規模程度の貸ビル、貸マンション等の管理を委託している同業者が支払う管理料の賃借人支払家賃総額に対する割合との比準の方法により算出してくるからです。
 過去の不動産管理会社の税務裁判例、裁決例(否認事例)の多くが、この適正管理料か否かに集中しています。

集金ベースOR契約書ベース

 次に、「賃借人支払家賃総額」といっても、実際の集金ベースなのか契約書(による発生)ベースなのかで違いが生じると思います。全くの第三者の市中の不動産管理会社に管理業務(管理委託方式)を委託する場合、実際の集金ベースに%を掛けたものが請求されるでしょう。これが正しいやり方なのですが、同族の不動産管理会社の場合、毎月の管理料が変動するので手間だということで契約書(による発生)ベースで管理料を請求するやり方が多いです。ただし、この場合には、少なくとも、毎事業年度ごとの管理料の見直し等はする必要があるかと思われます。
 一括転貸(サブリース)方式の場合は、賃借人支払家賃総額(満室の場合)を想定しているので、契約書(による発生)ベースで管理料を請求するやり方が多いです。