信用取引委託保証金
信用取引とは、投資家が委託保証金(取引額の30%の保証金が必要。最低30万円)を証券会社に担保として預託し、資金・上場株式等を借りて売買を行う取引です。
そのため、信用取引をしていた人が亡くなった場合は、財産として、委託保証金はあるということになります。なお、現金預金の代わりに、有価証券を差入することもできます。
信用取引により株式を買っていた(買建てをしていた)人が決済前に死亡した場合の相続税評価額
財産
信用買いの場合は、証券会社から借りた資金で株式を買い付け、後に売却して資金を返済します。なお、現物株と同様に株価上昇で利益が発生します。
信用取引をしていた人が亡くなった場合は、財産として、委託保証金はあるということになります。なお、現金預金の代わりに、有価証券を差入することもできますが、その場合は、通常の財産評価額で評価します。
信用取引により買建てをしていた人が決済前に死亡した場合は、株式については現物株と同様に、上場株式の評価方法で評価した価額が財産の額となります。
買付株式は借入金の担保として差し入れているため、これにより、品貸料を受取る場合は、その未収金額は財産となります。
債務
信用買いの場合は、証券会社から借り入れを行なっているため、借入金(買建金額手数料含む)が債務となります。そして、その借入金に対する支払利息(相続日までの分)も債務となります。
信用取引により株式を売っていた(売建てをしていた)人が決済前に死亡した場合の相続税評価額
財産
信用売りの場合は、証券会社から借りた株式を売りつけ、後に買い戻して株式を返済します。なお、現物株と逆のイメージで株価下落で利益が発生します。
信用取引をしていた人が亡くなった場合は、財産として、委託保証金はあるということになります。なお、現金預金の代わりに、有価証券を差入することもできますが、その場合は、通常の財産評価額で評価します。
信用取引により売建てをしていた人が決済前に死亡した場合は、株式の売却代金(売建金額手数料控除後)が財産としてあるということになります(証券会社から株式を借りているため、担保として差し入れています)。
また、株式を借りて売り、その売却代金を証券会社に預けることになるため、利息を受取ります(売方金利)。よって、相続日までの受取利息が財産としてあることになりますが、現状は0円のことが多いです。
債務
信用売りのために、証券会社から株式を借りたため、課税時期における最終価格を基として評価した「(証券会社からの)借株の評価額」が債務の額となります。
この場合における「借株の評価額」は、課税時期(相続開始日)の最終価格となります。したがって、上場株式の価額を評価する場合の課税時期の属する月以前3か月間における月中平均株価では評価できません。
信用売りの場合、売方は売却する株式を借りるわけですから、これに対する品貸料がかかり、債務となります。
まとめ
買建て | 売建て | |
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財産 | 信用取引委託保証金・有価証券 買建てた株式(通常の上場株式による評価) 受取品貸料 | 信用取引委託保証金・有価証券 株式の売却代金 受取利息 |
債務 | 借入代金 支払利息 | 借株(課税時期の最終価格で評価) 支払品貸料 |