特定口座(源泉徴収選択口座)が開設されている証券会社等の営業所を通じて支払いを受ける等一定の要件を満たす上場株式等の配当等については、「源泉徴収選択口座内配当等受入開始届出書」の提出を行うことにより、その源泉徴収選択口座に受け入れることができます(措法37の11の6④、措令25の10の13⑥一)。

 なお、特定口座(源泉徴収選択口座)とは、一般的に、特定口座(源泉徴収あり)と言われています。

源泉徴収選択口座に受け入れることができる上場株式等の配当等

 源泉徴収選択口座に受け入れることができる上場株式等の配当等とは、源泉徴収選択口座が開設されている証券会社等の営業所に係る振替口座簿に記載等がされているもので、次に掲げる利子等又は配当等のうち上場株式等に係るものとなります(措法37の11の6④一)。

(1)国外公社債等の利子等(国外一般公社債等の利子等を除く。)で金融商品取引業者等により所得税が徴収されるべきもの
(2)国外私募公社債等運用投資信託等の配当等以外の国外投資信託等の配当等で金融商品取引業者等により所得税が徴収されるべきもの
(3)国外株式の配当等で金融商品取引業者等により所得税が徴収されるべきもの
(4)上場株式等の配当等で金融商品取引業者等により所得税が徴収されるべきもの

 なお、法令上、源泉徴収選択口座に係る特定口座内上場株式等の配当等に限られていないことから、一般口座に係る上場株式等の配当等も源泉徴収選択口座への受入れも可能です。

 例えば、甲証券会社において、ある顧客が源泉徴収選択口座でA株式、一般口座でB株式を保有している場合、上場株式配当等受領委任契約等に従い、①A株式の配当、B株式の両方を源泉徴収選択口座に受け入れることも可能であるし、A株式の配当のみを源泉徴収選択口座に受け入れることも可能です。

源泉徴収選択口座内配当等に係る所得計算と源泉徴収

 源泉徴収選択口座に受け入れた配当等(源泉徴収選択口座内配当等)については、その源泉徴収選択口座内配当等に係る利子所得の金額及び配当所得等の金額と泉徴収選択口座内配当等以外の利子等及び配当等に係る利子所得の金額及び配当所得等の金額とを区分して計算します。

 証券会社等が源泉徴収選択口座内配当等について源泉徴収する場合は、その源泉徴収選択口座内に上場株式等に係る譲渡損失の金額があるときは、源泉徴収すべき額は、その年中の源泉徴収選択口座内配当等の総額からその上場株式等に係る譲渡損失の金額を控除した残額について源泉徴収税率を乗じて計算した金額となります。

 なお、この金額が既に源泉徴収した金額を上回る場合は、その差額が還付されることとなります。

源泉徴収選択口座内配当等受入開始届出書

 「源泉徴収選択口座内配当等に係る所得計算及び源泉徴収等の特例」を適用しようとする方は、源泉徴収選択口座内配当等受入開始届出書を、源泉徴収選択口座が開設されている金融商品取引業者等の営業所の長に提出しなければなりません(措法37の11の6②、措令25の10の13②、措規18の13の7①)。

 まだ、源泉徴収選択口座を開設していない場合は、特定口座開設届出書も併せて提出します。

 なお、提出期限は、源泉徴収選択口座に受け入れをしようとする上場株式等の配当等の支払の確定する日までとなっています(措令25の10の13②)。

 源泉徴収選択口座内配当等受入開始届出書を提出した後は、源泉徴収選択口座に上場株式等の配当等を受け入れるかどうかを個別に選択することはできず、受け入れをやめるためには、源泉徴収選択口座内配当等受入終了届出書を提出する必要があります(措令25の10の13③、④ 、措令25の10の13④、措規18の13の7② )。

 なお、提出期限は、源泉徴収選択口座に受け入れをやめようとする上場株式等の配当等の支払の確定する日までとなっています(措令25の10の13④)。

特定口座年間取引報告書と支払通知書

 「特定口座(源泉徴収あり)」で、上場株式等の配当金等や公募株式投資信託の分配金、MRFの分配金、公社債の利金等を受け取られた方は、「特定口座年間取引報告書」が交付され、そこに配当等に関する記載がされています。

 「特定口座(源泉徴収なし)」および「一般口座」等で、上場株式等の配当金等や公募株式投資信託の分配金、MRFの分配金、公社債の利金等を受け取られた方は、「上場株式等の支払通知書」が交付され、そこに配当等に関する記載がされています。