社会保険料控除においては、条文上、「自己又は自己と生計を一にする配偶者その他の親族の負担すべき社会保険料を支払つた場合」という規定となっています(所法74)。

 一方、iDeCo(イデコ)の掛金は、所得控除の「小規模企業共済等掛金控除」にあたりますが、「生計を一にする配偶者」という規定にはなっていません(所法75)。

 よって、本人の掛金しか対象にならなく、仮に、妻の分を負担しても、その分は控除対象外となります。

 また、掛金の負担額が年間110万円を越える場合には、妻に贈与税の問題が生ずることになります。

平成15年1月28日裁決(裁事65集268頁)

 請求人は、所得税法第75条《小規模企業共済等掛金控除》第1項の規定は「居住者が、各年において、小規模企業共済等掛金を支払った場合には、その支払った金額を、その者のその年分の総所得金額、退職所得金額又は山林所得金額から控除する。」としていることから、請求人が支払っている以上、請求人の青色事業専従者の小規模企業共済掛金も同法の規定に該当し、請求人の所得控除の対象とすることができる旨主張する。

 しかしながら、同法の規定は、居住者が、各年において、自己が契約した小規模企業共済法の共済契約に基づく掛金を支払った場合に、その支払った金額について所得控除を認めるものであり、請求人が請求人の青色事業専従者を共済契約者とする小規模企業共済掛金を支払っていたとしても請求人の小規模企業共済等掛金控除の対象とはならない。