概要
株式会社においては利益剰余金(利益準備金及びその他利益剰余金)を減少し、資本金へ組み入れることが可能とされています(会社法448、450、会計規25)。
この場合、法人税法では、その組み入れにより資本金の額が増加しても、資本金等の額や利益剰余金の額の変更はなかったものとされる一方、地方税法では資本金等の額が増加します。また、株主等への払い戻しがないことから配当課税は生じません。
一方、合同会社の場合、資本剰余金を減少して資本金に組み入れることが可能です(会計規30①三、31②四)。ただし、利益剰余金を資本金へ組み入れることが可能であるとの規定がありません。よって、できないと考えられます。
また、社員は、合同会社に対し、利益の配当を請求することができる(会社法621)ため、会社内部に留保されているといっても、利益剰余金は社員のものです。よって、会社の自由で資本金に組み入れることはできないと考えられています。
合同会社の利益剰余金の増減(会社計算規則32条)
(利益剰余金の額)会社計算規則32条
持分会社の利益剰余金の額は、第四節に定めるところのほか、次の各号に掲げる場合に限り、当該各号に定める額が増加するものとする。
一 当期純利益金額が生じた場合 当該当期純利益金額
二 持分会社が退社する社員に対して持分の払戻しをする場合 イに掲げる額からロに掲げる額を減じて得た額(零未満である場合には、零)
イ 当該持分の払戻しを受けた社員の出資につき資本金及び資本剰余金の額に計上されていた額の合計額
ロ 当該持分の払戻しにより払い戻した財産の帳簿価額
三 前二号に掲げるもののほか、利益剰余金の額を増加させることが適切な場合 適切な額
2 持分会社の利益剰余金の額は、第四節に定めるところのほか、次の各号に掲げる場合に限り、当該各号に定める額が減少するものとする。ただし、出資の払戻しにより払い戻した財産の帳簿価額に相当する額は、利益剰余金の額からは控除しないものとする。
一 当期純損失金額が生じた場合 当該当期純損失金額
二 持分会社が退社する社員に対して持分の払戻しをする場合 イに掲げる額からロに掲げる額を減じて得た額(零未満である場合には、零)
イ 当該持分の払戻しにより払い戻した財産の帳簿価額
ロ 当該持分の払戻しを受けた社員の出資につき資本金及び資本剰余金の額に計上されていた額の合計額
三 社員が出資の履行をする場合(第三十条第一項第一号イ及びロに掲げる額の合計額が零未満である場合に限る。) 当該合計額
四 前三号に掲げるもののほか、利益剰余金の額を減少させることが適切な場合 適切な額