除却処分

 会社が使用価値の失われた固定資産について除却処理を行う場合、税務上は、その固定資産を解撤・破砕・廃棄等していることを原則として、固定資産の帳簿価額からその処分見込価額(スクラップ価格)を控除した残額を除却損として損金算入することができます。

 例えば、1500万円が減価償却済の、取得価額2000万円の機械装置を除却処分し、除却する機械に評価額(処分見込価額)300万円があるとすると、固定資産除却損は200万円となります。

固定資産除却損 200万円   機械装置 2000万円
減価償却累計額 1500万円
貯蔵品 300万円

 なお、除却処分したという証拠のために、「産業廃棄物業者が発行する廃棄証明書」「産業廃棄物業者からの請求書や領収書など」「廃棄した固定資産の写真とリスト」といった書類を残しておきましょう。

有姿除却

 固定資産の解撤、破砕、廃棄等に多額の費用を要することが見込まれるような場合には、下記の要件の下、解撤等を行うことなく現状の姿のまま除却処理することができる「有姿除却」を行うことが認められます(法基通7-7-2)。

(1) その使用を廃止し、今後通常の方法により事業の用に供する可能性がないと認められる固定資産
 これは個々の事実認定に応じて判断されます。

(2) 特定の製品の生産のために専用されていた金型等で、当該製品の生産を中止したことにより将来使用される可能性のほとんどないことがその後の状況等からみて明らかなもの
 生産中止といっても、今後必ずしも使用する可能性がないとはいえないという理由により、多くの企業が使用済分を保有し続けている実情があります。

 「有姿除却」の場合も、固定資産の帳簿価額からその処分見込価額を控除した残額を除却損として損金算入することができます。

 解撤等に要する費用の見積り額は未確定債務であるため、その見積り額を当該処分見込金額から控除して除却損の額を計算することは、認められないものと思われます。

 なお、税務調査では、除却日、使用しなくなった経緯や再使用の可能性、該当する固定資産の現況の確認、処分見込価額が適正であるか等が調べられます。

個人事業主の場合

 個人事業主の場合も、上記のような除却処分による除却損、有姿除却(所基通51-2の2)による必要経費算入が認められています。

償却資産税

 除却した場合は、償却資産申告書に添付する種類別明細書(減少資産用)の減少等の事由に、除却した旨の記載(除却に〇)をすることで、償却資産税は課税されないこととなります。

 「有姿除却」の場合も同様です。