概要

 居住者に対しデザインの報酬の支払をする者は、その支払の際、その報酬について所得税を徴収し、その徴収の日の属する月の翌月10日までに納付しなければなりません(所法204①一)。なお、納期の特例の対象とはなりませんので、注意が必要です。

 源泉徴収が必要な具体的なデザインの報酬は、次に例示したようなものです(所基通204-7)。なお、例示されているデザインはいずれも可視的なものを前提としています。

(1) 工業デザイン
 自動車、オートバイ、テレビジョン受像機、工作機械、カメラ、家具等のデザイン及び織物に関するデザイン

(2) クラフトデザイン
 茶わん、灰皿、テーブルマットのようないわゆる雑貨のデザイン

(3) グラフィックデザイン
 広告、ポスター、包装紙等のデザイン

(4) パッケージデザイン
 化粧品、薬品、食料品等の容器のデザイン

(5) 広告デザイン
 ネオンサイン、イルミネーション、広告塔等のデザイン

(6) インテリアデザイン
 航空機、列車、船舶の客室等の内部装飾、その他の室内装飾

(7) ディスプレイ
 ショウウインドー、陳列棚、商品展示会場等の展示装飾

(8) 服飾デザイン
 衣服、装身具等のデザイン

(9) ゴルフ場、庭園、遊園地等のデザイン

 その他、テロップ(国税庁HP質疑応答事例「テロップ代金」)、レタリング(国税庁HP質疑応答事例「コピーライター、イラストレーター及びレタリングライターへの報酬」)も、源泉徴収が必要なデザインとされています。

デザインの報酬に類似するが該当しないもの(源泉徴収が不要)

(1) 織物業者が支払ういわゆる意匠料(図案を基に織原版を作成するのに必要な下画の写調料)又は紋切料(下画を基にする織原版の作成料)(所基通204-6)

(2) 字又は絵等の看板書き料(所基通204-6)

(3) 氏名書き料(国税庁HP質疑応答事例「書道家に支払う卒業証書の氏名書き料」)

(4) デザインとその施工の対価を一括して支払う場合(所基通204-8)
 ネオンサイン、広告塔、ショーウィンドー、陳列棚、商品展示会場又は庭園等のデザインとその施工とを併せて請け負った者にその対価を一括して支払うような場合には、その対価の総額をデザインの報酬・料金と施工の対価とに区分し、デザインの報酬・料金について源泉徴収を行いますが、そのデザインの報酬・料金の部分が極めて少額であると認められるときは、源泉徴収をしなくて差し支えありません。その区分の手数省略を考慮して源泉徴収を要しないとされています。

源泉徴収の方法

 源泉徴収すべき所得税額および復興特別所得税の額は支払金額(源泉徴収の対象となる金額)により次のようになります。

支払金額(=A)税額
100万円以下A×10.21%
100万円超(A-100万円)×20.42%+102,100円

(注)求めた税額に1円未満の端数があるときは、これを切り捨てます。

計算例

150万円の原稿料を支払う場合

(150万円 – 100万円)× 20.42% + 102,100円 = 204,200円

源泉徴収すべき所得税および復興特別所得税の額は204,200円になります。