概要
建物附属設備とは、原則として、建物に固着しているものですが、法令上、暖冷房設備、照明設備、通風設備、昇降機その他建物に附属する設備をいいます(法令13一カッコ書き)。
そして、用途により、次のように区分して耐用年数を定めています(耐令別表第一)。
〇 建物内に収容する人の居住性の維持のために施設するもの
(1)電気設備 (照明設備を含みます。)
(2)給排水又は衛生設備及びガス設備
〇 建物内に収容する人の作業雰囲気等の調整及び建物固有の機能を向上させるために施設するもの
(3)冷房、暖房、通風又はボイラー設備
(4)昇降機設備(エレベーター、エスカレーター)
〇 使用可能期間が短い等のため特に建物から分離して償却することとされたもの
(5)消火、排煙又は災害報知設備及び格納式避難設備
(6)エヤーカーテン又はドアー自動開閉設備
(7)アーケード又は日よけ設備
(8)店用簡易装備
(9)可動間仕切り
〇 その他
(10)その他
木造建物の特例
建物の附属設備は、原則として建物本体と区分して耐用年数を適用します。
例えば、建物の工事が一括請負工事のため建築費用が一本となっているような場合には、工事見積書等によってそれぞれ区分します。そして、建物附属設備の耐用年数を適用します。
ただし、木造、合成樹脂造り又は木骨モルタル造りの建物の附属設備については、建物と一括して建物の耐用年数を適用することができます(耐通2-2-1)。
電気設備 (照明設備を含みます。)
蓄電池電源設備の耐用年数は6年であり、その他のものは15年となっています。範囲については、それぞれ次によります(耐通2-2-2)。
(1) 「蓄電池電源設備」とは、停電時に照明用に使用する等のためあらかじめ蓄電池に充電し、これを利用するための設備をいい、蓄電池、充電器及び整流器(回転変流器を含む。)並びにこれらに附属する配線、分電盤等が含まれます。
(2) 「その他のもの」とは、建物に附属する電気設備で(1)以外のものをいい、例えば、次に掲げるものがこれに該当します。
イ 工場以外の建物については、受配電盤、変圧器、蓄電器、配電施設等の電気施設、電灯用配線施設及び照明設備(器具及び備品並びに機械装置に該当するものを除く。以下ロにおいて同じ。)並びにホテル、劇場等が停電時等のために有する内燃力発電設備
ロ 工場用建物については、電灯用配線施設及び照明設備
給排水又は衛生設備及びガス設備
耐用年数は15年となっています。
建物に附属する給水用タンク及び給水設備に直結する井戸又は衛生設備に附属する浄化水槽等でその取得価額等からみてしいて構築物として区分する必要がないと認められるものについては、それぞれ、「給排水設備」又は「衛生設備」に含めることができます(耐通2-2-3)。
冷房、暖房、通風又はボイラー設備
冷暖房設備(個々の冷凍機の出力が22キロワット以下のもの)の耐用年数は13年であり、その他のものは15年となっています。範囲については、それぞれ次によります(耐通2-2-4)。
(1) 冷却装置、冷風装置等が一つのキャビネットに組み合わされたパッケージドタイプのエアーコンディショナーであっても、ダクトを通じて相当広範囲にわたって冷房するものは、「器具及び備品」に掲げる「冷房用機器」に該当せず、「建物附属設備」の冷房設備に該当します。
(2) 「冷暖房設備(冷凍機の出力が22キロワット以下のもの)」には、冷暖房共用のもののほか、冷房専用のものも含まれます。
(注) 冷暖房共用のものには、冷凍機及びボイラーのほか、これらの機器に附属する全ての機器を含めることができます。
(3) 「冷暖房設備」の「冷凍機の出力」とは、冷凍機に直結する電動機の出力をいいます。
(4) 浴場業用の浴場ボイラー、飲食店業用のちゅう房ボイラー並びにホテル又は旅館のちゅう房ボイラー及び浴場ボイラーは、建物附属設備に該当しません。
(注) これらのボイラーには、その浴場設備又はちゅう房設備の該当する業用設備の耐用年数を適用します。
昇降機設備(エレベーター、エスカレーター)
エレベーターの耐用年数は17年であり、エスカレーターは15年となっています。
消火、排煙又は災害報知設備及び格納式避難設備
耐用年数は8年となっています。
格納式避難設備とは、火災、地震等の緊急時に機械により作動して避難階段又は避難通路となるもので、所定の場所にその避難階段又は避難通路となるべき部分を収納しているものをいいます(耐通2-2-4の2)。
(注) 折たたみ式縄ばしご、救助袋のようなものは、器具及び備品に該当します。
エヤーカーテン又はドアー自動開閉設備
耐用年数は12年となっています。
エヤーカーテン又はドアー自動開閉設備とは、電動機、圧縮機、駆動装置その他これらの附属機器をいうのであって、ドアー自動開閉機に直結するドアーは、これに含まれず、建物に含まれます(耐通2-2-5)。
アーケード又は日よけ設備
主として金属製のものの耐用年数は15年であり、その他のものは8年となっています。
店用簡易装備
耐用年数は3年となっています。
耐用年数の適用上、建物についてした造作は、原則として建物に含めて償却することとされています。ただし、建物についての造作であっても、店用簡易装備に該当するものについては、建物と区分して、建物附属設備として耐用年数3年を適用し償却することができます。
店用簡易装備とは、主として小売店舗等に取り付けられる装飾を兼ねた造作(例えば、ルーバー、壁板等)、陳列棚(器具及び備品に該当するものを除く。)及びカウンター(比較的容易に取替えのできるものに限り、単に床の上に置いたものを除く。)等で短期間(おおむね3年以内)に取替えが見込まれるものをいいます(耐通2-2-6)。
可動間仕切り
簡易なものの耐用年数は3年であり、その他のものは15年となっています。
可動間仕切りとは、一の事務室等を適宜仕切って使用するために間仕切りとして建物の内部空間に取り付ける資材のうち、取り外して他の場所で再使用することが可能なパネル式若しくはスタッド式又はこれらに類するものをいいます(耐通2-2-6の2)。
「簡易なもの」とは、可動間仕切りのうち、その材質及び構造が簡易で、容易に撤去することができるものをいいます。
会議室等に設置されているアコーディオンドア、スライディングドア等で他の場所に移設して再使用する構造になっていないものは、「可動間仕切り」に該当しません(耐通2-2-6の2注)。
その他
主として金属製のものの耐用年数は18年であり、その他のものは10年となっています。その他には、例えば、次のようなものが該当します(耐通2-2-7)。
(1) 雪害対策のため、建物に設置された融雪装置で、電気設備に該当するもの以外のもの(当該建物への出入りを容易にするため設置するものを含みます。)
(注) 構築物に設置する融雪装置は、構築物に含め、公共的施設又は共同的施設に設置する融雪装置の負担金は、繰延資産(法基通8-1-3、8-1-4)に該当します。
(2) 危険物倉庫等の屋根の過熱防止のために設置された散水装置
(3) 建物の外窓清掃のために設置された屋上のレール、ゴンドラ支持装置及びこれに係るゴンドラ
(4) 建物に取り付けられた避雷針その他の避雷装置
(5) 建物に組み込まれた書類搬送装置(簡易なものを除く。)