概要
2か所以上から給与の支払を受けている人のうち、給与の全部が源泉徴収の対象となる場合において、年末調整されなかった従たる給与の収入金額と給与所得及び退職所得以外の所得金額との合計額が20万円以下の人は、申告の必要はありません。
ただし、以下の注意点があります。
(1)2か所以上から給与の支払を受けている人のうち、給与の全部が源泉徴収の対象となる場合において、年末調整されなかった従たる給与の収入金額と給与所得及び退職所得以外の所得金額との合計額が20万円を超える人は確定申告が必要となります。
ただし、給与の収入金額の合計額から、雑損控除、医療費控除、寄附金控除、基礎控除以外の各所得控除の合計額を差し引いた金額が150万円以下で、かつ、給与所得及び退職所得以外の所得金額が20万円以下の人は、申告の必要はありません(所法121①二、所基通121-6)。
各種所得の金額の合計額に算入される一時所得の金額及び総合長期譲渡所得の金額は、それぞれ2分の1した後の金額となります(所法22②二)。
(2)給与の一部が国外の会社から直接受ける給与など、給与が源泉徴収対象でない場合には、確定申告が必要となります(所法121①二、所基通121-5(3))。
(3)2か所以上から給与の支払いを受ける場合であっても、同一時点で2か所に勤務しておらず、給与所得及び退職所得以外の所得金額が20万円以下の人は、申告の必要はありません(所法121①一、所基通121-4)。
所基通
121-4(一の給与等の支払者から給与等の支払を受ける場合)
法第121条第1項第1号に規定する一の給与等の支払者から給与等の支払を受ける場合とは、その年中の同一時点においては2以上の給与等の支払者から給与等の支払を受けることがない場合をいうのであるが、2以上の給与等の支払者から給与等の支払を受ける場合であっても、当該給与等の全部について法第190条《年末調整》の規定が適用されるときは、これに該当するものとする。
121-5(確定所得申告を要しない規定が適用されない給与所得者)
次に掲げる者については、その年中に支払を受けるべき給与等の金額の合計額が法第121条第1項本文に規定する金額以下である場合であっても、同項の規定は適用されないことに留意する。
(1) 法第184条《源泉徴収を要しない給与等の支払者》の規定により源泉徴収をすることを要しない常時2人以下の家事使用人のみに対し給与等の支払をする者から給与等又は退職手当等の支払を受ける居住者
(2) 国際慣例により源泉徴収をする義務がないものとされる在日大公使館又は在日外交官から給与等又は退職手当等の支払を受ける居住者
(3) 国外において給与等又は退職手当等の支払を受ける居住者
121-6(給与所得及び退職所得又は公的年金等に係る雑所得以外の所得金額の計算)
法第121条第1項第1号に規定する「給与所得及び退職所得以外の所得金額」又は同条第3項に規定する「公的年金等に係る雑所得以外の所得金額」とは、法及びその他の法令の規定により確定申告書の提出又は確定申告書への記載若しくは明細書等の添付を要件として適用される特例等を適用しないで計算した総所得金額、退職所得金額及び山林所得金額の合計額から、給与所得の金額及び退職所得の金額の合計額又は公的年金等に係る雑所得の金額及び退職所得の金額の合計額を控除した金額をいうものとする。