株式分割

 株式分割とは、発行されている株式を細分化して発行済株式数を増加させ、その増加分を、株主の所有株式数に応じて配分する方法です。例えば、1株が2株にするなど細分化されることになります。

 株式分割が行われた場合は株数が変わり、また、株式分割後の1株当たりの取得価額も変わります(所令110①)。

 株式分割後の株式の取得価額は次のとおりです。
1株当たりの取得価額 = (旧1株当たりの取得価額×旧株数)/株式分割後株数

 例えば、100株を所有している株主が株式分割により200株の所有となれば、1株当たりの取得価額は2分の1になるように調整されています。

(計算例)
(Q)
A社株式100株(1株当たりの取得価額1,000円)を所有していたが、株式分割により100株が200株になったが、この場合の株式分割後の株式の取得価額はいくらになるのか?

(A)
1株当たりの取得価額 = (1,000円×100株)/200株 = 500円

株式併合

 株式併合は、2株を1株に併合するというように、上記で説明した株式分割とは逆になります。株式併合が行われた場合は株数が変わり、また、株式併合後の1株当たりの取得価額も変わります(所令110①)。

 株式併合後の株式の取得価額は次のとおりです。

1株当たりの取得価額 = (旧1株当たりの取得価額×旧株数)/株式併合後株数

 例えば、200株を所有している株主が株式併合により100株の所有となれば、1株当たりの取得価額は2倍になるように調整されています。

(計算例)
(Q)
B社株式200株(1株当たりの取得価額1,000円)を所有していたが、株式併合により200株が100株になったが、この場合の株式併合後の株式の取得価額はいくらになるのか?

(A)
1株当たりの取得価額 = (1,000円×200株)/100株 = 2,000円

株式無償割当て

 株式無償割当てとは、株式分割と同様に、株主の所有する株数を増加させる制度です。

 株式分割は、旧株と同一の種類の株式を交付する場合のみの制度ですが、株式無償割当ては別の種類の株式を交付することもできます。

 株式無償割当てにおいて、旧株と同一の種類の株式を交付する場合は、株式分割と同様に、株式無償割当て後の株式の取得価額は次のとおりとなります(所令111②)。

1株当たりの取得価額 = (旧1株当たりの取得価額×旧株数)/株式無償割当て後株数

 株式無償割当てにおいて、旧株と異なる種類の株式を取得した場合には、旧株の取得価額は変わらず、割当てられた株式の取得価額はゼロになります。

(計算例)
(Q)
C社株式100株(1株当たりの取得価額1,000円)を所有していたが、株式無償割当てにより100株が200株になったが、この場合の株式無償割当て後の株式の取得価額はいくらになるのか?

(A)
1株当たりの取得価額 = (1,000円×100株)/200株 = 500円

株主割当て有償増資

 株主割当て有償増資とは、株主が持ち株数に応じて新株を取得できる増資をいいます。上記で説明した株式無償割当てと違い、株主は新たな払込みをする必要があります。ただし、一般的に時価より低い価額で新株を取得することができます。

 株主割当て有償増資が行われた場合は株数が変わり、また、株主割当て有償増資後の1株当たりの取得価額も変わります(所令111①)。

 旧株と新株の取得価額を平均化されるように、株主割当て有償増資後の株式の取得価額は次のとおりとなります。

1株当たりの取得価額 = (旧1株当たりの取得価額+新株1株につき払い込んだ金額×旧株1株について取得した新株数)/(旧株1株について取得した新株数+1)

(計算例)
(Q)
D社株式500株(1株当たりの取得価額1,000円)を所有していたが、株主割当て有償増資により旧株1株について取得した新株数は1株で、1株当たり500円を払い込んでD社株式を取得(結果、D社株式1,000株所有)したが、この場合の株主割当て有償増資後の株式の取得価額はいくらになるのか?

(A)
1株当たりの取得価額 = (1,000円+500円×1)/(1+1) = 750円