概要
医師等による診療等を受けるための通院費若しくは医師等の送迎費で、通常必要なものは控除の対象となります(所令207三、所基通73-3(1))。
ここでいう交通費とは、通常必要なものであり、電車賃やバス賃などのように人的役務の提供の対価として支出されるものをいいます。
付添人の交通費
患者を一人で通院させることが危険な場合には、患者の通院費のほかに付添人の交通費(通院のために通常必要なものに限ります。)も医療費控除の対象となります(国税庁HP質疑応答事例「患者の世話のための家族の交通費」)。
タクシー代
ここでいう交通費とは通常必要なものであるため、電車やバスなどの公共交通機関にかかる費用が該当し、一般的には、タクシー代は控除の対象には含まれません。
ただし、病状からみて急を要する場合や、電車、バス等の利用ができない場合には、その全額が医療費控除の対象となります(国税庁HP質疑応答事例「病院に収容されるためのタクシー代」)。
自家用車で通院する場合のガソリン代等
自家用車で通院する場合のガソリン代や駐車場の料金は、人的役務の提供(所令207三)の対価として支出されるものでないため、医療費控除の対象とはなりません(国税庁HP質疑応答事例「自家用車で通院する場合のガソリン代等」)。
病院へ通院するために要した自家用車のガソリン代等は医療費控除の対象となる医療費には該当しないとされた事例-令和5年11月6日裁決要旨(裁事133集)(棄却)
請求人は、所得税基本通達73-3《控除の対象となる医療費の範囲》(本件通達)は、所得税法施行令第207条《医療費の範囲》第1号に掲げる医師又は歯科医師による診療又は治療の対価にはそれに付随又は関連をする費用として通院費が含まれる旨を明らかにしたものであるから、病院へ通院するために要した自家用車のガソリン代、高速道路利用料金及び駐車場利用料金(本件ガソリン代等)も医師等による診療等を受けるための通院費として、医療費控除の対象となる医療費に該当する旨主張する。
しかしながら、通院費は病院等へ往復するための旅費や交通費であり、医師等による診療行為又は治療行為に対して支出されるものではないため、所得税法施行令第207条第1号に掲げる医師又は歯科医師による診療又は治療の対価に通院費が含まれると解することはできない。また、本件通達にいう通院費の取扱いは、飽くまで同条第3号に掲げる病院、診療所又は助産所へ収容されるための人的役務の提供の対価の解釈として許容される範囲内に限るものと解することが相当であるところ、本件ガソリン代等は、いずれも商品の購入の対価として支出されたもの又は設備若しくは施設等の利用の対価として支出されたものであり、人的役務の提供の対価とはいえないことから、本件通達にいう通院費に該当しない。
したがって、本件ガソリン代等は医療費控除の対象となる医療費には該当しない。