概要

 会社を運営していたが、あまりうまくいかず、休業・休眠をしようと考えている方はいると思います。

 解散・清算と違い、あくまでも休業ですので、法的には会社は存続しているということになります。また、解散・清算と違い、手続きにお金や手間がかからないというメリットもあります。

 ただし、法人を休業した場合の税務について、知っておく必要があります。

休業届出

 休業する場合は、休業届出を所轄税務署や地方自治体に提出します。つまり、税務申告をしている役所に提出することになります。

 なお、休業届出のための用紙はないため、異動届出書にいつ休業した等記載することになります。

税務申告

 休業をしていても、申告自体は必要となります。ただし、通常、所得や課税売上は生じないので、法人税、消費税は課税されないということになります。

青色申告の承認の取消し

 前述したように、休業をしていても申告自体は必要となります。ただし、面倒で申告をしないという方も結構いるのが実情です。

 なお、2事業年度連続して無申告又は期限後申告の場合は、青色申告の承認が取消されます(法人の青色申告の承認の取消しについて(事務運営指針)4)。

地方税の均等割

 休業中は、通常、所得は生じないので、所得に応じて課される地方税は課税されないということになります。問題は、所得に関係なく課される均等割がどうなるのかということです。

 「事務所又は事業所」を有する法人は均等割が課されることになっています(地方税法24①、294①)。

 地方税法の施行に関する取扱いについて(道府県税関係)によれば、「事務所又は事業所」とは、以下とされています(地方税法の施行に関する取扱いについて(市町村税関係)も同じ)。

(1) 事務所又は事業所(以下「事務所等」という。)とは、それが自己の所有に属するものであるか否かにかかわらず、事業の必要から設けられた人的及び物的設備であって、そこで継続して事業が行われる場所をいうものであること。この場合において事務所等において行われる事業は、当該個人又は法人の本来の事業の取引に関するものであることを必要とせず、本来の事業に直接、間接に関連して行われる附随的事業であっても社会通念上そこで事業が行われていると考えられるものについては、事務所等として取り扱って差し支えないものであるが、宿泊所、従業員詰所、番小屋、監視所等で番人、小使等のほかに別に事務員を配置せず、専ら従業員の宿泊、監視等の内部的、便宜的目的のみに供されるものは、事務所等の範囲に含まれないものであること。
(2) 事務所等と認められるためには、その場所において行われる事業がある程度の継続性をもったものであることを要するから、たまたま2、3か月程度の一時的な事業の用に供する目的で設けられる現場事務所、仮小屋等は事務所等の範囲に入らないものであること。

 「事業の必要から設けられた人的及び物的設備」の判断を迷うことはないでしょう。休業したからといって、事務所等がそのままの状態であれば、「事業の必要から設けられた人的及び物的設備」があるということになるでしょう。

 一方、事務所等を撤去して人的及び物的設備がなければ、「事業の必要から設けられた人的及び物的設備」がないということになるでしょう。

 問題は「継続して事業が行われる」のかどうかということになります。

 休業しているのであるから、継続して事業が行われるとはいえないという考えがあります。一方、依然として事務所等を有しており、かつ、一時的な休業状態であるならば、継続して事業が行われているという考えがあります。

 なお、実務的にいうと、法人の状況(事務所等の有無)や、地方自治体の判断基準により、均等割が課されたり、課されなかったり、さまざまといえます。

 ですから、休業される法人の方は、法人の状況(事務所等の有無)を説明し、所在地の自治体に相談されることをお勧めいたします。