「転換社債型新株予約権付社債(転換社債)」とは、発行時に決められた値段(転換価額といいます)で株式に転換することができる債券です。株式に転化する可能性を秘めているので潜在的株式といわれています。
転換社債の評価(評基通197-5)は、以下の通りです。
種類 | 評価額 | |
---|---|---|
(1) 金融商品取引所に上場されている転換社債 | 金融商品取引所の公表する課税時期の最終価格+源泉所得税相当額控除後の既経過利息の額 | |
(2) 日本証券業協会において店頭転換社債として登録された転換社債 | 日本証券業協会の公表する課税時期の最終価格+源泉所得税相当額控除後の既経過利息の額 | |
(3) (1)又は(2)に掲げる転換社債以外の転換社債 | イ 株式の価額が転換価格を超えない場合 | 転換社債の発行価額+源泉所得税相当額控除後の既経過利息の額 |
ロ 株式の価額が転換価格を超える場合 | 発行会社の株式の価額×(100円/転換社債の転換価格) |
転換社債の評価は、利付公社債の評価(評基通197-2)と同様に、金融商品取引所等で市場価格が判明しているものは、それを基に評価します。ただし、転換社債特有の扱い(上記(3))には注意が必要です。
転換社債の場合、投資家は、 株価が上昇すれば株式に転換してその値上がり利益と株式としての配当を享受し、株価が低迷しているときは、社債のまま保有して社債元本の安全性と確定利子を確保することができます。
株式の価額が転換価格を超えない場合(上記(3)イ)には、実益がないので社債を株式に転換する投資家はいないでしょう。よって、転換社債は一般の利付公社債と同じように、利回りを中心とした価格形成が行われるので、発行価額と既経過利息との合計額によって評価することになります。
ただし、株式の価額が転換価格を超える場合(上記(3)ロ)には、転換社債の価格も株式の価額と連動して価格形成が行われ、一般の利付公社債と異なる価格が形成されます。投資家は、株式への転換の意欲が高まるため、転換社債のすべてが一時に株式に転換したものとして、「発行会社の株式の価額×(100円/転換社債の転換価格)」という評価方法で定められることになります。
計算例
上記(3)の転換社債
発行価額 額面100円につき100円
源泉所得税相当額控除後の既経過利息の額 額面100円あたり1円
額面総額 500万円
(1)株式の価額が転換価格を超えない場合
転換価格 1,000円
株式の価額 900円
評価額
(100円+1円)×(500万円/100円)=505万円
(2)株式の価額が転換価格を超える場合
転換価格 1,000円
株式の価額 1,200円
評価額
1,200円×(100円/1,000円)×(500万円/100円)=600万円