青道及び赤道

 「青道」とは、公図上には存在するが、地番の記載がない河川または水路である(あった)敷地をいい、登記簿上では無籍地とされ、道路法の適用がない国有地です。また、似たような呼称の「赤道」とは、公図上には存在するが、地番の記載がない道路である(あった)敷地をいい、青道同様に、登記簿上では無籍地とされ、道路法の適用がない国有地です。青道及び赤道の呼び名は、公図上着色された色に由来しています。

 青道等は、その所有権が国(や市町村)に帰属するものであるが、現実には、その形態及び機能を有しておらず、青道等と隣接する土地が結果として一体的に利用されていることがあり、このような場合は、相続税の評価に当たっては一体として評価するのが相当と認められます。

 なお、水路や道路として機能していない青道及び赤道については、平成17年4月1日に一括で用途廃止された上で管理が財務省(各地方財務局)へ引き継がれており、払い下げを受けることができます。よって、青道等を含めたところで一画地として評価した場合には、青道等の払下費用相当額を控除して評価することになりますが、その払下費用相当額は、原則として、相続人等が払下げ申請を行った場合に支払うこととなる金額です。

 ただし、払下費用相当額が判明しない場合には、次の算式により算定した金額を控除しても差し支えないものとされています(「東京国税局課税第一部 資産課税課 資産評価官 資産税審理研修資料(平成27年7月作成) 質疑応答事例(赤道が存する宅地の評価)」)。

1㎡当たり当該宅地の相続税評価×(1-借地権割合)×需給修正率(0.5)×当該宅地に存する赤道(青道)の面積

裁判例・裁決例

青地が存在する場合の宅地の評価方法については、評価通達5に基づき、評価通達に準じた評価方法により評価するのが相当であるとされた事例-東京地裁平成30年11月30日判決(平成29年(行ウ)252号)(棄却)(確定)

(1)事案の概要
 本件は、原告Xら(以下「Xら」という。)が相続税の申告をしたところ、課税庁Yが、土地及び家屋の評価額に誤りがあるなどとして更正処分等をしたことから、Xらが当該処分の取消しを求めた事案である。本件は、他に評価単位、私道や貸家の評価、葬式費用等争点がいくつもある事案であるが、ここでは、「青地(水路)が存在する場合の宅地の評価方法」の争いについて、取り上げることとする。
 Xらは、青地が存在する土地(以下「本件土地」という。)について、青地部分(市の所有)を含めた全体を宅地として利用していたところ、評価通達に定める路線価方式により、本件土地に係る1㎡当たりの価額を求めた上で、当該価額に本件土地の地積(青地部分の地積を除いたもの)を乗じて算出した額を評価額とし、相続税の申告を行った。
 Yは、本件土地については、評価通達5(評価方法の定めのない財産の評価)に基づき、評価通達20-2(無道路地の評価)に準じ、本件土地全体の評価額から、当該青地部分の払下費用相当額を控除した額を評価額とするのが相当であるとして、Xに対し相続税の更正処分等をした。

(2)判決要旨(請求棄却)(確定)
① 青地が存在する場合の宅地の評価方法については、評価通達に定めがないから、評価通達5に基づき、評価通達に定める評価方法に準じて評価することになる。
② Yが主張する評価方法は、青地が存在する宅地は、青地部分を含めて宅地として利用しようとする場合に、当該青地部分について払下費用相当額の負担が生ずることが想定されることから、評価通達20-2に準じ、無道路地において通路を開設する場合の通路部分の価額の控除と同様に上記相当額を控除するというものであり、適正な時価を算定する方法として一般的な合理性を有するものであると認められる。
③ この点、Xは、本件土地全体の評価額を算出した上で、青地面積と青地以外の面積の割合に応じて按分すべき旨主張する。しかし、青地部分の評価額が青地以外の評価額と同等になるとは認められず、このような評価方法によると、青地以外の評価額が本来の評価額より低い金額となることが容易に想定でき、相当とは認められない。