産経新聞2019年7月30日より引用(個人名は伏せている)
「脱税した金を海外口座に隠したうえ、海外に計5千万円超の資産を保有する個人に義務づけられる「国外財産調書」を提出しなかったとして、大阪国税局が国外送金等調書法違反(不提出)と所得税法違反の罪で、京都市山科区の家具輸入販売会社のN社長(49)=同区=を京都地検に告発したことが29日、関係者への取材で分かった。国税庁によると、国外財産調書制度が導入された平成26年以来、調書不提出による国外送金等調書法違反罪での告発は全国初。」
その年の12月31日において、5,000万円を超える国外財産を有する居住者(非永住者を除く)は、当該財産の種類・数量および価額その他必要な事項を記載した「国外財産調書」を、翌年の3月15日までに税務署に提出しなければならないことになっています。
なお、国外財産調書の提出を促進するための措置として、以下のアメとムチが用意されています。
(1)国外財産調書を提出期限内に提出した場合には、国外財産調書に記載がある国外財産に関して所得税・相続税等の申告漏れが生じたときであっても、過少申告加算税等が5%減額されます。
(2)国外財産調書の提出期限内の提出がない場合または記載すべき国外財産の記載がない場合に、その国外財産に関して所得税の申告漏れ(死亡した者に係るものを除く)が生じたときは、過少申告加算税等が5%加重されます。
(3)国外財産調書に虚偽記載があった場合または正当な理由なく提出期限内に提出しなかった場合には、1年以下の懲役または50万円以下の罰金に処されることがあります。
通常、税理士が、5,000万円を超えるであろう国外財産を保有しているお客さんに、「国外財産調書」の提出をするメリットとデメリットを説明する場合、上記(1)と(2)の組み合わせが多いでしょう。(3)は、まずないだろうと、説明しても、一応、説明するってな感じでしょう。
今回、平成26年以来、調書不提出による国外送金等調書法違反罪での告発は全国初とのこと。ただ、「N社長は家具輸入販売事業を営んでいた27~29年、計2億1千万円の所得を隠し、8300万円を脱税。そのうち7300万円を香港にある本人名義の銀行口座に保有し、調書の提出義務があるにもかかわらず提出しなかったとされる。(産経新聞2019年7月30日より引用)」とのことなので、脱税とのセットということで、調書不提出による単独でというわけではない。まぁ、「国外財産調書」を提出していない人にはインパクトがあるでしょうね。一罰百戒っていうことですね。