脱税

節税と脱税の違い 

 節税と脱税の違いを、よく分かっていない人が多いです。しかし、ここはちゃんと理解しておかないとダメです。節税と脱税の違いを簡単に説明すると「節税は法の範囲内で税金を減らすこと」をいいます。

 一方、「脱税は法の範囲を逸脱して税金を減らすこと」をいいます。つまり、税金を減らそうと考えた場合、それが法の範囲内かどうかをしっかり理解する必要があります。また、租税回避行為とも区別してください。

租税回避行為

 法の範囲を逸脱しているとはいえないが、納税者が異常な行為を選択することによって通常用いられる行為と比べて税負担を減少させるような場合があります。このような行為を租税回避行為といいます。

 一般に、租税回避行為とは以下の3つの要件を満たす行為といわれています。
(1)法の範囲を逸脱しているとはいえないが、合理的理由がないにもかかわらず納税者が異常な行為を選択
(2)通常用いられる行為を選択した場合と同一の経済的目的ないし経済的成果を実現
(3)税負担を減少させあるいは排除

 通常用いられる行為を選択して税負担を減少させる「節税」や法の範囲を逸脱している「脱税」とは「租税回避」が異なることがわかってもらえたでしょう。

同族会社等の行為又は計算の否認

 租税回避は脱税と違い違法ではないので処罰はされませんが、「同族会社等の行為又は計算の否認」などの否認規定が適用されます。

 法人税法は、同族会社の行為又は計算で、これを容認した場合に法人税の負担を不当に減少させる結果となると認められるものがあるときは、税務署長はその行為又は計算にかかわらず、その認めるところにより、法人税額を計算することができることになっています(法法132)。これを「同族会社等の行為又は計算の否認」といいますが、法人税法だけでなく、所得税法、相続税法、地方税法にも同様の規程があります。

 つまり、同族会社による租税回避による税負担を減少させあるいは排除した行為又は計算は否認され、通常用いられる行為に置き換えられ課税されてしまいます。そのため、税務署に節税策が租税回避にあたると指摘されてしまうと何の意味もなくなるので気を付けてください。

 同族会社でおこりやすい事例として以下のようなものがあります。