mmf

概要

 外貨MMFは、外国公社債投資信託に分類されます。通常、現地で課税されないルクセンブルクやケイマン諸島などに籍が置かれている(例えば、野村証券の場合、ノムラ外貨MMFはルクセンブルグ籍オープンエンド契約型外国投資信託)ため、日本国内でのみ20.315%(所得税等15.315%、住民税5%)の課税となっています。よって、外国税額控除の適用はありません。

外貨MMFの収益分配金

 外貨MMFの収益分配金は、公社債投資信託であるため、上場株式等の利子所得として20.315%の税率により源泉徴収されます。そして、「申告不要」または「申告分離課税(確定申告をする場合)」のいずれかを選択します。

 特定口座(源泉徴収あり)内で受け取った収益分配金は、その口座内で株式譲渡損等との損益通算が行われます。なお、MMFは、毎日決算を行って収益を全額分配していますが、通常、収益分配金(源泉徴収された後の分)は1か月分まとめて月末に再投資されます。

 再投資がされるため、将来、譲渡した時の譲渡所得の計算における取得価額は当初購入時の金額より高くなります。

 例えば、当初、100円の時に1万ドル(100万円)購入していれば、その段階の取得価額は100万円となります。しかし、その後、収益分配金(源泉徴収された後の分)1000ドル分が再投資されたら、取得価額は1万1000ドルとなります。

 ただし、確定申告をする場合は、円貨で計算をしないといけないので取得価額1万1000ドルを円で算出する必要があります。

 特定口座の場合であれば、勝手に計算してくれるので簡単ですが、後述するように、一般口座の場合、納税者が自分自身で計算しないといけないので大変です。

外貨MMFの譲渡所得(換金)

 外貨MMFを解約した場合は、受渡日に元本と収益分配金が合わせて交付されますが、元本部分は譲渡所得の計算対象となり、収益分配金は利子所得となります。

 なお、円貨、外貨決済を問わず、譲渡対価の邦貨換算額相当額が、譲渡に係る収入金額として取り扱われるため、上場株式等グループ内の譲渡所得として、税率20.315%の申告分離課税の対象となります。よって、別途、為替差損益(雑所得)を計上せず、譲渡所得の中に為替差損益分が含まれるということになります。

 外貨MMFの特徴として、純粋な元本部分だけでの譲渡所得を考えると通常、譲渡損益0となりますが、為替差損益により譲渡損益が計上されるということになります。

 ざっくりいうと、外貨MMFの場合、為替差益=譲渡益ということです。

外貨MMFと外貨預金、外貨預け金の関係

 外国株式を購入するに当たって、外貨MMFと外貨預金の場合だと違いが生じます。外貨建預金を払出し外国株式等に投資した場合、為替差益を所得として認識する必要がありますが、この為替差益は「雑所得」に含まれ総合課税の対象となります。自分で、為替差益はいくらなのか計算をする必要があります。

 一方、外貨MMFによって外国株式を購入する場合(正確には、外貨MMFで直接、外国株式の買付はできないので、外貨MMFを外貨決済にて解約後に外国株式を購入)、申告分離課税の譲渡所得の中に為替差損益分が含まれるということになります。また、特定口座(源泉徴収あり)で保有していれば、自動的に計算してくれるので非常に楽です。

 よって、頻繁に外国株式を購入等する方は、外貨預金ではなく外貨MMFで保有をしておく方がよいということになりますが、新型コロナウイルス禍で世界的な金利低下に拍車がかかり、金融機関において外貨MMFの運用が難しくなっている状況です。そのため、利用しようと思っても利用できない方はいるでしょう。

 証券会社における外貨預け金の場合も、外貨預け金から外国株式等に投資した場合は、自分で、為替差益はいくらなのか計算をする必要があります。

一般口座に入っている外貨MMF

 平成28年1月から特定口座の対象範囲に公社債・公社債投資信託が追加され、外貨MMFやMRFも特定口座への受入れ対象となりました。

 そのため、通常、新たに外貨MMFを購入する場合、証券会社は外貨MMFを特定口座(源泉徴収あり)にいれる(保有する)ので問題ありません。

 ただし、昔から外貨MMFを持っている人の中には一般口座の中に入っている場合があります。

 平成28年12月末までであれば、一般口座で持っていた外貨MMFやMRFを特定口座に受け入れることができたのですが、その間に手続きをせずに一般口座のままで外貨MMFやMRFを所有されている方が結構います。

 この場合、外貨MMFを解約した場合は、自分で譲渡所得の計算をしないといけないのですが、収益分配金が再投資されていたりしているので計算が非常に大変です。

 いわゆる概算取得費(5%)を利用して、譲渡所得の計算はできますが、そもそも95%の利益が出るような商品ではないので、納税者はソンをします。

 ですから、概算取得費を利用して計算するのは、最終手段と考えた方が良いと思います。

MRFの税金

 上記、外貨MMFの税金と同じように考えて問題ないかと思われます。また、MRFの場合、通常、円貨での商品となっているので、その意味では外貨MMFより計算が簡単といえます。