概要

 公社債は、所得税法上、「特定公社債」と「一般公社債」に分類され、それぞれ課税の取扱いが異なります。 

「特定公社債」とは

 特定公社債とは、公社債のうち、以下の①~⑨のいずれかに該当するものをいいます(措法37の11②五)。一方、一般公社債とは、特定公社債以外の公社債をいいますので、特定公社債とは何かをおさえる必要があります。

① 国債、地方債、外国国債、外国地方債
② 会社以外の法人が特別の法律により発行する債券(投資法人債、特定目的会社の特定社債等を除く)
③ 公募公社債、上場公社債、外国公募公社債、外国上場公社債
④発行日の前9ヶ月以内(外国法人にあっては、前12ヶ月以内)に有価証券報告書等を提出している法人が発行する社債
⑤国外において発行された公社債で、次に掲げるもの(取得後に引き続き、売出し等を行った金融機関で保管の委託がされているものに限る)
(イ)国内において売付け勧誘等に応じて取得した社債
(ロ)(イ)以外で、国内において売付け勧誘等に応じて取得した社債で、その取得日前9ヶ月以内(外国法人にあっては、前12ヶ月以内)に有価証券報告書等を提出している法人が発行する社債
⑥国内外の金融商品取引所で公表された公社債情報(一定の期間内に発行する公社債の種類および総額、発行者の財務状況等その他その公社債に関する基本的な情報をいう)に基づき発行される公社債で、目論見書にその公社債情報に基づき発行されるものである旨の記載があるもの
⑦次の外国法人が発行し、または保証する債券
(1)次に掲げる外国法人が発行し、または保証する債券
(イ)出資金額等の2分の1以上が外国の政府により出資されている外国法人
(ロ) 外国の特別の法令に基づき設立された外国法人で、その業務が当該外国の政府の管理の下で運営されているもの
(2)国際間の取極に基づき設立された国際機関が発行し、または保証する債券
⑧国内外の法令に基づいて銀行業または金融商品取引業を行う法人またはその100%子会社等が発行する社債
(その取得者が1人またはその関係者のみであるものを除く)
⑨2015年12月31日以前に発行された公社債(発行時に源泉徴収がされた割引債や、同族会社に該当する会社が発行した社債を除く)

特定公社債の税金

特定公社債の利子にかかる税金

 特定公社債の利子の課税は、上場株式等の配当と似た取扱いとなります。

(1)源泉徴収

 利子の受け取りの際には、税率20.315%(所得税等15.315%、住民税5%)で源泉徴収されます。

(2)確定申告

 上場株式等の配当等と同様に、申告不要(源泉徴収のみで納税が完了)とすることができますが、確定申告をすることも可能です。

 利子を確定申告するかどうかは、特定口座(源泉徴収あり)で受取る利子はその口座(特定口座ごと)で受け入れた上場株式等の配当と合わせてその全額について申告するかどうかを選択する必要があります。特定口座(源泉徴収あり)以外での利子については、銘柄別に、1回に支払いを受ける利子ごとに申告をするか否かを選択をすることができます。

  確定申告をする場合には、総合課税として確定申告することはできず、税率20.315%の申告分離課税の対象となります。特定公社債の利子を申告分離課税で申告した場合でも、上場株式等の配当については、総合課税を選択し申告することはできます。

 また、特定公社債の利子を申告した場合には、上場株式等グループの売却損や償還差損と損益通算できます。 

特定公社債の売却にかかる税金

 特定公社債の課税は、上場株式等と同様の取扱いとなり、特定公社債の売却益は税率20.315%の申告分離課税の対象となります。

 売却益が生じた場合には、原則、確定申告が必要ですが、特定口座(源泉徴収あり)内での売却益は源泉徴収されているため、申告不要とすることができます。

 売却損が生じた場合には、上場株式等グループの売却益・償還差益と通算でき、また、配当等・利子等と損益通算できます。損益通算の結果、控除しきれない損失の額については確定申告により翌年以後3年間繰越すことができます。

特定公社債の償還にかかる税金

 特定公社債の償還にかかる税金(償還差損益にかかる税金)は、上記の「特定公社債の売却にかかる税金」と同じです。

一般公社債の税金

一般公社債の利子にかかる税金

(1)源泉徴収

 一般公社債の利子は、受け取りの際に20.315%の税率で源泉徴収されます(源泉分離課税)。

(2)確定申告

 源泉徴収され、それにより納税が完結するため、確定申告の対象外となります。

 ただし、一般公社債のうち同族会社が発行した社債の利子で、その同族会社の株主等が支払いを受けるものについては、総合課税の対象となり、確定申告が必要です。

一般公社債の売却にかかる税金

 一般公社債の売却益は税率20.315%の申告分離課税の対象となります。なお、特定口座では取り扱われません。

  売却損が生じた場合には、一般株式等グループの売却益・償還差益(私募株式投資信託、私募公社債投資信託等の償還差益を除きます)と通算できますが、一般株式等グループの配当等・利子等と損益通算することはできません。

  売却損と売却益・償還差益を通算した結果、控除しきれない損失の額が生じても、翌年以後に繰越すことはできません。

一般公社債の償還にかかる税金

 一般公社債の償還にかかる税金(償還差損益にかかる税金)は、上記の「一般公社債の売却にかかる税金」と同じです。